恐山レーヴ (青森県 八戸 久慈 旅紀行)#3
岩手県久慈市、道の駅くじを出たのが13時頃。
目的地である恐山は16:30の到着予定である。
ナビとスマホのgoogleマップ経路案内を両方セットして臨む。
途中、高速道路をブッ飛ばしてこの時間。
距離は193kmを示している。
ほぼ200km。
1日でこんなに移動したことあったっけ。
ただ、青森に来たからには絶対に恐山だけは行きたかった。
久慈から一番近い九戸のインターから高速に乗り、北上。
途中、高速が建設中で途切れ途切れになるものの、軽米、南郷、八戸を素通りして、八戸西、八戸北、第二みちのく有料道路に入る。
さすがに3時間のドライブに無音はキツイので何がいいかなとと思案した結果、3秒くらいで広瀬香美ベストアルバムを選択。高速ブッ飛ばすにはこれしかない。
三沢十和田、六戸、六戸三沢、上北、野辺地と通過していく。
国道279号、むつはまなすライン、途中で横浜の地名に出くわす。
こんなとこに横浜か!
むつ市街に入ってからはチェーン店を中心に栄えた箇所が続いたが、フッと山道に入っていく。
人気が全くない。
カーブの急な山道。道端には地蔵の姿が点々と。
もう、16時を過ぎて山道は少し陽が陰っている。
めちゃくちゃ、おっかねえ。
山には山の厳かさ、恐ろしさというのがあるのだが、それを体現する道、道、道。
西日が、登る山道の車を襲う。
と、ここでGoogleマップの指示は分岐を左に指示。ナビはまっすぐだと言っている。
Googleマップの指示に従って左に行ったら、中途半端な山道の途中でナビを終了させられた!
こんな山ん中で終わんなや!!
マジでこの時は焦った。
山が入ることを拒否しているのでは、と。
めげずにUターンして分岐まで戻り(1kmくらいはゆうに走った)、真っ直ぐな方を選んで進む。
道路に大きな門がかかっている。
車田正美先生のリングにかけろを思い出す。
と、これまで上りだった道が下りになっていることに気づいた。
どんどん下ってる。
合っているのか…?
陽が、差してきた。
眼前に広がるのは湖畔。
明るい陽の光。
車から降り立つと、どうにもし難い硫黄の臭いが鼻を突く。
よくぞこの奥地に寺を建てようと思ったものだ…
入山料500円を払う。
正直なところ、高野山を訪れた時ほどのガッカリ感はない。
寺の手前にお土産物屋とレストランはあったものの、寺の内部はしっかりと恐山だった。
あちこちに見受けられる石の山と、風車。そしてところどころで噴き出ている硫黄の煙。
こんなとこで火山が活性化したらどうするんだろう。ひとたまりもない。
積み上がっている石を崩さないようにそろりそろりと歩く。
途中、道なき道を歩き戻って来れなくなってしまう。
夕方、閉山前でこれだけ恐ろしさを感じる場所。
夜来たら多分チビる。
陽が落ちる前に立ち去らねばという思いを強くした。
しかし、ここは寺だけあって宿坊がある。泊まれるのである。
3時間近く車を飛ばしてヘトヘトだったがちょっと泊まるのは無理。大都会八戸へ帰りたい。
帰りは街灯のない真っ暗な田舎道をウン10kmでブッ飛ばして、信号機の光が停止板の光のような三角に見える事態に陥ったもののなんとか無事故で大都会八戸まで帰ってきた。
本当に、八戸ICの看板を見た時はホッとした。
恐山からすぐの山道では、黒猫2匹、狸1匹、キジ1匹、リス1匹を見かけた。
熊はいなくてよかったけど、黒猫は近づかないと黒猫には見えず、子熊のように見えてまた恐ろしかった。
後部座席には誰も乗ってこなかった。
2日目、昨日のアバヅル男山で現金を失っていた俺は、八戸市内の漫画喫茶「自遊空間」に泊まろうか、八戸駅側の八戸ゆーゆらんど新八温泉に行こうか迷っていた。
0:00まで1300円で0:00を過ぎると900円加算と書いてあり、仮眠室などが使えるらしい。
恐山で浴びた硫黄を落としたかったので八戸ゆーゆらんどへ車を飛ばす。漫画喫茶からは車で12分。果たしてこれは正解。
ものすごく貧乏ゆすりをして、すわっ地震か!と思わせるクソ客がいたこと以外は、サウナも最高で気持ちよく朝を迎えられた。
朝、車に行ったら相当冷え込んだらしく、車中泊してたら凍えていたな、と思った。
2200円で暖かい風呂と毛布が提供される男一人旅最高である。
八戸ゆーゆらんどは女性も同じ料金で泊まれる。
(あくまで宿泊扱いではないものの)
目的地、恐山レーヴを踏破して、さらに旅は続く。次は東北未踏県最後の地、秋田県。
この日の走行距離は約270kmでおわり。
続く。