AV女優に会いに行くということ。 川島和津実





AV女優に会いに行くということ。

まずはこちらを見てほしい。

ソフト・オン・デマンドの立ち飲み屋が5月3日にオープン、女子社員が接客

https://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/wakiba/find/1118361.html

秋葉の地理は写真を見ただけでだいたいわかる。
日比谷線の出口を出てすぐ右に歩いたあたり。

で、オープン初日は人気AV女優の紗倉まなさんが一日店長で来店するという。

Twitterのタイムラインで知ったのだが、紗倉まなさんに大変な思い入れのある方がいる。
その方が、並んで、会って、一緒にお酒を飲むという経験をされていて、図らずも20年くらい前の出来事が思い出されたのである。

時は1998年。

社会人も2年目で少し心に余裕が出てきた秋。
当時はまだ、プレステ2も発売されていなくて、DVDは全く普及していなかった。
AVといえば本当にVHSビデオテープの時代だったのである。

インターネットもダイヤルアップ接続という、常時接続が当たり前の現代では考えられない方式で、速度も遅く、つなげているだけで電話代がかかるというしくみであった。

何が云いたいかというと、20代前半の男のエロ情報収集はもっぱらエロ本だったのである。
特に好んで買っていたのは、今は亡き英知出版という出版社の雑誌で、「デラべっぴん」「ビデオボーイ」「BeJean」など、まあ40代男性ならみんな知ってるそのあたりの雑誌である。

当時、グラビアヌードばかりでまだAVデビューしていないとてもとても可愛い子がいた。
名前を 川島和津実 という。

インターネット常時接続が当たり前の現代、ググればすぐに画像が出てくるだろうから写真は特に載せはしない。

まあ、20代男子が好きそうな子だよね。俺もご多分に漏れず大好きになった。

日々、彼女にはお世話になる日が続いた。

ふとある日、エロ本のモノクロページをパラパラと見ていた時、ある告知が目に留まった。

 

 

「ヌード撮影会 モデル:川島和津実 98年11月X日 参加費:一万円」

 

 

えっ

会えるの?

あの川島和津実に??

しかも一万円で、生ヌードを見られて、写真撮影もしちゃっていいの???

(続きはこの下にあります↓↓↓↓)


 

一万円、社会人2年目の俺には決して安くない金額だった。
(その割にはパチンコで1日五万円とか負けていたのに)

だが、気づいたら申し込み完了していた。

しかし、困ったことに気づいた。

カメラを持っていないのである。

当時は当然スマホもなく、デジカメも普及し始めで持っている人は少なかった上に25万画素とかの時代。

まさか、写ルンです(※ググってください)を持っていくわけにはいかんだろう。

しかし、ヌード撮影会に持っていくような大砲のような一眼レフを買えるだけの金もあるわけもない。

悩みぬいた末に、コダックのコンパクトフィルムカメラ(¥7,000くらいだった)を清水の舞台から飛び降りる覚悟で買い、フジフィルムの24枚撮りフィルムお買い得4巻セットを買ってきた。

当日、はやる気持ちをおさえつつ慣れない東京西側の電車に乗り、豪徳寺という駅に着いた。

迷うこと小一時間、開始時間に遅れて会場に到着。

すでに撮影会は始まっているらしい。
受付で一万円を払って撮影スタジオの現場の屋上に。

そこには、着衣の、本物の彼女が立っていた。

「小さい・・・」

グラビアで見慣れた豊満な身体のイメージとは違う、コンパクトで可愛らしい女の子だった。
あと、顔がめちゃくちゃ小さい。


その周りに、30人くらいだろうか。撮影者は100%男。どの男も例の、大砲のようなレンズをつけた一眼レフカメラを持っている。

人気ヌードグラビアモデルに会いに来ました!テヘッ!
って人が一人もいない。

この時点で大いなる劣等感に苛まれてしまったが、一万円分の働きはしなければ、と意を決して愛機コダックを取り出す。

猛者カメラマン達の視線が刺すように感じられた。

結局、屋上ではろくな写真も取れずに休憩時間に入った。

孤独。

場違いなところへ、場違いな装備で来てしまった感が半端ない。

己のスケベ心を満たすために来た男 vs あくまでも表面上は芸術としてのヌード撮影に来たカメラマン達

自尊心とか羞恥心とかそういう言葉が頭の中を巡っている。俺は何者で、何しにここへ来たのか。憧れのグラビアヌードモデルを目の前にしてそんなことを考える始末。

早くこの場から立ち去りたい・・・とまで思った。

撮影後半戦に入る前に、ツーショット写真の撮影をしてくれるらしい。
ちょっとテンションが上がった。
たしか握手もしてもらったと思う。

後半、室内、ベッドのある部屋で撮影が始まる。開始時は着衣のままスタートした。
そして、いよいよ服を脱ぐ。
30人の大砲が彼女に向けられシャッターが一斉に切られる。
俺も夢中でシャッターを切るんだけど、いかんせんコンパクトカメラである。
パシャ、ジー、パシャ、ジー、パシャ
そんな感じでなかなか撮れない。

途中、現場監督らしき人が、「アンタ、そんな(カメラ)じゃ撮れねえだろ、前に来なよ!」って言って前に移動させてくれた。

(近い・・・)

ニッコリ微笑む彼女。

だが、せっかくの配慮も2,3枚撮ったところでフィルムが切れ、もたもた交換している間に他のカメラマンに目線を移されてしまう。

撮影の会場は、
「こっち目線ちょーだい!」
「ハイ、こっちこっち! いいねぇ~!」
など魚市場さながらに掛け声が飛んでていて、活気があるなあと感心してしまった。

そうこうしているうちに、
「ハイ!撮影終了です!」

の声がかかった。

緊張の糸が切れたのか、「恥ずかしかったよぉ~~~」と言ってベッドに突っ伏す彼女。

あ、そりゃそうだよな、いつものグラビア撮影はプロのカメラマンさん一人と照明の人とかだろうし、こんな30人近くのオッサンカメラマンにレンズを向けられて撮られるのはまた全然違うんだろうな。

グラビアでしか見たことのなかった彼女は実在し、グラビアヌードモデルである前に、一人の人間だった。

たぶん、撮影会に来なければそのことを一生分からなかったかもしれない。

俺が感じていたちっぽけな羞恥心なんて、彼女のそれに比べれば塵以下だろう。

撮影させてくれて、ありがとう。

この日俺は、かけがえのない経験をした。

羞恥と劣等の感情とともに記憶に刻みこまれたこのことを、憧れのAV女優に会いに行く方のツイートを見て思い出したのである。




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